すっぱいぶどうは食べ飽きた

東京をサバイブ!

神宮で会いましょう

 

「神宮には、秋が1番似合いますよね」とは学生時代の後輩の言葉で、その通りだとわたしも思う。

神宮とは明治神宮野球場の愛称で、プロ野球東京ヤクルトスワローズの本拠地でもある。

 

学生野球では東京六大学を始め、東都大学野球の1部リーグで使用されており、高校野球の聖地・阪神甲子園球場と並んでアマチュア野球の聖地と言われる。

 

わたしは学生時代にスポーツ新聞部に入っていたので、春と秋のリーグ戦の時期になると週に3日は神宮に通いつめた。


少し思い出話をすると、夏休みはキャンプ取材のために夜行バスに乗って遠征したし、OP戦の日は毎回駅から野球部のグラウンドまで30分歩いた。

 

11年の震災の際も、世田谷にある野球部のグラウンドでOP戦を観ていた。

バックネット裏の古い観戦席が大きく揺れてとても恐かったのを覚えている。


まさに晴れの日も雨の日も地震の日も。


同じゼミの友達と過ごした日よりも、彼らの三振を数えた日の方が多い。

何度も何度も同じ名前をスコアブックに書き込み、そしてその度にワクワクした。

 

それだけ一つのチームばかりに目を向けていると、どうしても愛着が湧いてしまうもので、4年生が引退する秋季リーグはいつもセンチメンタルな気持ちになったものだ。

 

特に、1年生の頃から観てきた一つ上の学年の選手が引退するのは悲しかった。


新チームになるとチームのカラーはガラリと変わる。

出ている選手が違うのだから当たり前と言えば当たり前なのだけど、たった3ヶ月で全く別の、知らないチームだ。


春季リーグはその違和感を抱えながら、新しい選手を覚えていく。

やっと打順もしっくりくるようになったなと思った夏もつかの間、秋がくればもう終わりの気配を間近に感じる。

 

寂しいと思うのはいつだって見送る側の常。

引退していく当の選手たちはあっさりしたもので、4年間の野球漬け生活との決別を喜んでいたり新生活に期待していたり、けっこう晴れ晴れした顔で去っていく。


秋季リーグが終わるのは10月、入替戦までいけば11月。


まだ夏の名残りを残した9月に開幕し、半袖からマフラーを巻くようになるまで。

季節の移り変わりをまざまざと感じる。


薄い秋空と近づいてきた冬のひんやりとした空気感に外苑前のイチョウ並木がいよいよ美しく、こんなに完璧な秋の日にこの人たちはいなくなってしまうのかとちょっぴり恨めしく、ちょっぴり不思議に思ったものだ。


神宮には秋がよく似合う。春よりも、夏よりも。


それは見送る側のエゴというか、もの悲しさだなと思う。

 

神宮の通路は雑多な匂いで満ちている。


汗と日焼け止めと制汗剤と立ち食いそばとビールと、野球場を構築するすべてのものが溶けた匂いがする。


晴れの日も雨の日も、勝った日も負けた日も、薄暗いひんやりとした通路でコメントをとった。

あの独特でなんとも形容しがたい、懐かしい匂いに包まれながら。

 

友達の影響で初めてみたブログだけれど、1番最初の記事は神宮のことを書きたかった。

秋が似合うこと、懐しい匂いがすること、それから最高の球場だってこと!

 

マイホームグラウンド、今シーズンもたくさん行くからね。